もう急いで自分を証明しない:否定を恐れた利善榛(リ・シャンジェン/Cindy Li)が、自分の選択を信じるまで










Credit: IG/@cindyli0318
要約
- •「リアル版晴子」という呼び名は芸能界への扉を開いたが、同時に「期待された姿のまま止まってしまうのではないか」という不安も生んだ――多くの人に見られることは、自分の価値を本当に信じられることと同じではない。
- •客室乗務員からオーディション、そしてガールズグループのリーダーへ。正解のない日々の中で、彼女は自分の選択に責任を持ち、行動ですべての心配に答えることを学んだ。
- •一人のファンの「ちゃんと生きていたいと思わせてくれてありがとう」という一言が、彼女が最も答えられずにいた問いに答えをくれた――誰かにとって、彼女がいなくなることは、本当に「関係がある」のだ。
自分を信じられないのではない。ただ、自分の選択が理解されないことが怖すぎるだけ――そんな人がいる。
だから早く結果を出そうとする。一時の衝動ではなかったこと、選択を間違えていなかったことを、一刻も早くみんなに知らせたくなる。その気持ちは人を前へ押し出す力になるが、同時に、知らず知らずのうちに自分の価値の判断を外の世界に委ねてしまうことにもなる。
利善榛(リ・シャンジェン/Cindy Li)にとって、その感覚は決して他人事ではない。
「リアル版晴子」として注目を集め、のちに客室乗務員(CA)になり、その安定した生活を離れて『菱格世代DD52』に参加し、HURのメンバー兼リーダーとなった。転身のたびに、世間の視線と家族の心配、そして自分自身への疑いがつきまとった。
彼女はずっと努力してきた。外見の先にある自分を見てほしかったし、あのときの選択は間違っていなかったと証明したかった。いくつもの肩書を経て、努力が必ずしも報われない日々に向き合ってようやく、本当に大切なのは全員に認められることではなく、自分の選択を自分が信じられるかどうかだと気づき始めた。

見られることと、自分の価値を信じることは違う
多くの人が最初に彼女を知ったきっかけは、「リアル版晴子」だった。突然の注目は、芸能界への扉を開いた。人々が彼女に目を留め、語り、その呼び名で記憶するようになった。
最初に感じたのは、プレッシャーよりも驚きと喜びだった。注目されるのは嬉しいことだし、このレッテルが運んできたチャンスにはずっと感謝している。ただ、みんなが一つの明確なイメージを通して自分を知るようになるにつれ、そこから抜け出せなくなるのではないかという不安が芽生えた。
カメラの前に立つきれいな姿は見えても、その一つひとつの裏にある練習、プレッシャー、不安までは、なかなか伝わらない。
「外見を褒めてもらえるのは本当にありがたい。でも、私にもたくさんの努力と不安があって、物事をちゃんとやり遂げたいという野心があることを、もっと知ってほしかった」
あの頃の彼女は、世間の評価をひどく気にしていたし、期待どおりの姿に自分を合わせようとしたこともあった。後になって気づく。多くの視線を集めることと、自分をより深く理解することは、まったく別の話だ。他人の定義の中で生き続ければ、全員に見られていても、自分の方向を少しずつ見失っていく。

安定を手放し、行動で心配に答える
のちに彼女は客室乗務員になった。安定していて専門性があり、多くの人が羨む仕事だ。厳しい訓練は、規律とプレッシャーへの耐性、そして様々な人や不測の事態への向き合い方を教えてくれた。
客室乗務員の仕事には明確なルールと手順がある。十分にプロフェッショナルで、細やかに自分の本分を果たせば、たいていのことには比較的はっきりした対処法がある。そんな生活が嫌いだったわけではない。ただ、穏やかさの中でこそ、消えることのなかった心の声がはっきり聞こえた。まだ表現したい。まだステージに立ちたい。
離れる決意をさせたのは、いまの生活への不満ではない。何年も経ってから振り返ったとき、チャンスがあったのに、失敗が怖くて一度も挑戦しなかった自分に気づいてしまうこと――その恐怖だった。
家族は最初、彼女の選択を認めなかった。彼らから見れば、彼女が手放そうとしているのは簡単には得られない安定した仕事で、選ぼうとしているのは収入が不安定で競争が激しく、誰も結果を保証できない道だった。
彼女にはわかっていた。あの反対は愛がないからではなく、苦労してほしくない、傷ついてほしくない、たくさん注ぎ込んだ末に何も残らないでほしくない、という恐れだ。それでも、理解はしていても、家族の心配は彼女を揺さぶった。この決断は衝動的すぎたのではないかと、疑わせた。
「本当のわがままとは、夢を選ぶことじゃない。選んでおきながら、その責任を取ろうとしないことだ」
必ず成功するという保証を家族に示すことはできない。できるのはただ、この道を選んだ以上、そこから生まれるすべてを引き受けると決めることだけだった。

正解のある毎日から、答えのない日々へ
実際に客室乗務員の仕事を離れると、収入も時間も未来も、予測のつかないものになった。芸能界には慣れ親しんだルールもなければ、どれだけ練習すればチャンスが来るのか、どれだけ注げば見返りがあるのかを教えてくれる、はっきりした道筋もない。
全力を尽くしても、結果が期待に届かないことがある。仕事が来ず、現実のプレッシャーが積み重なっていく中で、道を間違えたのではないかと疑ったこともあった。
だが、いま答えの出ない問いを繰り返すより、彼女はまだコントロールできることに意識を戻すようになった。仕事がない時期はSNSを育て、歌とダンスの練習を重ね、撮影をこなす。チャンスを待つ日々の中で、経験と力を積み上げ続けた。
チャンスがいつ訪れるかは決められない。それでも、待つあいだに立ち止まらないことなら、自分で決められる。
待っては空振りする繰り返しの中で、彼女は「失うことを受け入れる」ことも覚えていった。ステージを選ぶことは、もとの安定を手放すこと。保証のない道を歩むことは、努力がすぐには報われない可能性を受け入れることでもある。
彼女にできるのは、自分の選択に責任を持つこと。そして、結果がまだ見えない日々の中でも、歩き続けることだった。

数分のステージ、夢はすし詰めのワンルームに
『菱格世代DD52』に参加して、彼女はオーディションとガールズグループの世界に本格的に足を踏み入れた。観客が目にするのは照明と衣装、そして数分間のパフォーマンス。だが彼女の記憶に最も深く刻まれているのは、夜通し練習を終えた参加者たちが、彼女の狭いワンルームにすし詰めになって休んでいる光景だ。
練習で怪我をする人もいた。全員が疲れ切っていた。それでも、最高のパフォーマンスをステージに届けたいと願っていた。あの狭いワンルームには観客も拍手もない。あったのは、結果がどうなるかわからないまま、それでも練習を続けることを選んだ人たちだけだった。
自分のパフォーマンスが思うようにいかないとき、他の人のほうが早く成長していくのを見るとき、自分は足りないのではないかと疑うこともあった。だが、隣で一緒に努力するメンバーたちが教えてくれた。この道を歩いているのは、自分ひとりではない。
人が頑張り続けられるのは、必ず成功すると信じているからとは限らない。隣に、一緒に疲れて、一緒に疑い、それでも一緒に残ることを選んだ誰かがいるからだ。
外からガールズグループを見るとき、目に入りやすいのはステージや衣装やパフォーマンスだ。だが彼女に言わせれば、この生活のいちばんロマンチックでない部分は、多くのことが長い時間の積み重ねを必要とし、しかもすぐには反応が返ってこないところにある。
ステージ上の数分間の裏には、体力、感情、体型管理、カメラ映え、グループとしての連携といったプレッシャーが折り重なっている。メンバーは自分のパートをこなすだけでなく、他のメンバーの状態にも合わせ、グループ全体を一つの完成されたパフォーマンスとして見せなければならない。
この生活に必要なのは情熱だけではない。規律と、心の耐久力だ。長い時間をかけて準備しても、期待したほどの注目を得られないことはある。だが、ステージに立てる一回一回が簡単には手に入らないと知っているからこそ、いまも舞台に立てる機会を、彼女はいっそう大切にしている。

自分を後回しにするリーダーにも、受け止められたい時がある
HURに加入して、彼女はリーダーになった。この肩書がもたらすのは栄誉だけではない。多くの場面で、一人のメンバーとしての視点だけでは考えられなくなる、ということでもあった。
メンバーの調子が悪ければ、気を配ってなだめる。グループに問題が起きれば、まず対処法を考える。メンバーと事務所の間をつなぐのも彼女の役目だ。自分も同じように疲れていても、まずグループのことを片づけてから、ようやく自分の感情に向き合う。それが習慣になっていた。
「リーダーとは、偉い立場のことじゃない。より多くの責任を引き受ける立場のことだ」
HURからHUR+へ、グループは様々な段階と変化を経てきた。以前の彼女がよく考えていたのは、自分がグループに何をもたらせるか。いま気にかけているのは、一人ひとりがグループの中で自分の持ち場を輝かせられるようにするには、どうすればいいかということだ。
彼女は自分を、一隻の船の船長にたとえる。メンバーはそれぞれ船の別の持ち場を担っている。彼女の仕事は、歩調が揃わないとき、誰かが疲れ切ったとき、進む方向さえ霞んでしまったときに、それでもこの船を前へ進ませることだ。
だが、人を支える役割を長く続けていると、自分の価値を「まだみんなの面倒を見られるかどうか」に置いてしまいやすい。問題を解決できて、グループに力をもたらせるときは、自分の存在に意味があると感じられる。逆に、自分の状態が落ちたり、努力が報われなかったりすると、その疑いはいっそう深くなる。
以前の彼女は、リーダーたるもの強くあるべきで、弱さを簡単に見せてはいけないと考えていた。だが、疲れを隠し続けても、疲れが消えるわけではない。みんなを支えながら、彼女は忘れていた。自分にも「私も疲れた」と認められる場所が必要だということを。
本当の強さとは、いつでも全員を受け止められることではないのかもしれない。受け止めきれない時もあると知ったうえで、それでも自分の状態に正直に向き合おうとすることだ。
ただ、それを学ぶ前――自分がもう以前ほど役に立てない、以前ほど重要ではないと感じたとき、彼女はとても答えにくい問いを自分に投げかけたことがある。
「私がいなくなっても、関係ないんじゃないか?」

持ちこたえるだけのつもりが、誰かを支えていた
彼女が自分の存在価値を疑っていたちょうどその頃、一人のファンがこう言った。
「もうダメだと思っていました。力をくれてありがとう。ちゃんと生きていたいと思えました」
その瞬間、彼女は気づいた。自分がずっと積み重ねてきたことは、自分だけのためのものではなかった。自分の存在が、誰かにこれほどの力を届けられるなんて、考えたこともなかった。
かつての彼女は、外見ばかり見ないでほしいと願い続けていた。その瞬間になって初めて知った。誰かが本当に記憶していたのは、「リアル版晴子」でも、ステージの上のリーダーでもなく、疑いをくぐり抜けてもなお、諦めなかった彼女の姿だった。
彼女がふと口にした小さなことを覚えているファンがいる。公演の後、あなたの成長と努力に気づいていたと伝えてくれる人もいる。彼女が本当に心を動かされるのは、きれいだ、パフォーマンスが上手いと褒められることだけではない。ここまで来るのが簡単ではなかったと、知ってくれている人がいることだ。
自分はただ必死に持ちこたえているだけだと思っていた。だが彼女の見えないところで、その粘り強さが、もう一人の人間を支えていた。
あの言葉ですべての疑いが消えたわけではない。それでも、ずっと確かめられずにいた問いに、答えをくれた。
誰かにとって、彼女がいなくなることは、本当に「関係がある」のだ。

30歳、もうすべての人に自分を説明しない
以前の彼女は世間の目をひどく気にして、早く結果を出して認められたいと思っていた。外見だけの人間ではないと知ってほしかったし、安定した生活を離れた選択は間違っていなかったと証明したかった。
30歳を前後して、彼女は自分が本当に望むものを見つめ直し始めた。他人のペースに追いついているか、どれだけ注目を集めたかよりも、目の前にあるこのすべてが、自分の生きたい人生かどうか。そちらのほうが大事になった。
結果を軽んじるようになったわけでも、突然すべての目標を手放したわけでもない。ただ、時間は本当に大切な人と物事と夢のために使うべきで、外の期待に応え続けるために使うものではない――そう理解し始めただけだ。
いま、彼女はソロEP『2 Close』をリリースし、スキンケアブランド「BETOBE」を立ち上げた。作品からブランドまで、何を表現したいのか、誰になりたいのかを、以前より自分から決めるようになった。
BETOBEの名は "Become who you want to be" から来ている。彼女にとってそれは単なるブランド理念ではなく、ここまで歩いてきた末に、ようやく自分に言えるようになった言葉でもある。
懸命に働き、夢を追い、人を支えながら、彼女はもう一つのことを理解し始めた。自分のために時間を残すのは、わがままではない。まず自分を大切にできてこそ、次の段階へ歩き続ける力が生まれる。

始める意志さえあれば、望む人生にもう近づいている
もしいまの彼女が、注目を集め始めたばかりの頃、安定した仕事を離れようとしていた頃、あるいは初めて芸能界に足を踏み入れた頃の自分の前に戻れるなら――将来どんなステージに立ち、どんな結果を出すかを、急いで教えたりはしない。あの頃の自分に、ただこう言いたい。
「そんなに急いで自分を証明しなくていい。否定されるのが怖いからといって、自分の選択を疑わなくていい」
そして、安定した生活と夢の間で揺れている人たちに、彼女は過度にロマンチックな答えを渡したくないという。
安定は悪いものではないし、夢は必ずしもすべてを捨てて追うものでもない。本当に大切なのは、自分が何を望むのかに正直になること。そして、自分の選択に責任を持つこと。まだ確信が持てないなら、一度の挑戦、小さな一歩から始めればいい。
彼女にとって、自分の人生の主役になるとは、いつでも一番目立つ場所に立つことではないし、恐れや疑いと無縁になることでもない。外の世界にまだ期待があっても、他人の反応で自分の価値を急いで測らないこと。自分の選択を信じ始め、人を支えながら、自分を置き去りにしないと学ぶことだ。
人生は、どこかの瞬間に一気に変わらなくてもいい。自分の人生の主役になることは、自分を否定するのをやめ、最初の一歩を踏み出そうと思うところから始まることもある。いまも自分を疑い続けているすべての人に、彼女が一番伝えたい言葉のように。
「始めようと思えたなら、その場に立ち止まって自分を疑い続けるより、もう目標に近づいている。」
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